アンドロイドネットランナー(カードゲーム)の経営戦略的考察

今日は、私の事務所「経営労務」と名乗っておきながら今までその経営に関してはほぼお話を
してこなかったので、少し私なりのやり方(カードゲームと経営を比較してお話するという
とんでもない方法ですが)でお話をしたいと思います。

 

初めにこれからお話する内容には私の会社経営に関する基本的な考え方があります。
私はランチェスター経営 竹田先生の「強者の戦略、弱者の戦略」という考えを基に、
また私のお客さんには従業員100人以下の中小企業の会社様が多いので、弱者の戦略の
考え方を中心にお話を進めていきます。
(弱者というと聞こえが悪いので少し解説させていただきますと、「強者の戦略」が
使えるのは売上等で会社に順位を付けいていった場合の1,000社中上位5社程度で
残りの会社は全て「弱者」という定義です。ランチェスターの法則に関する詳しい
お話はここではいたしませんので、興味のある方はお手数ですが検索ください)

 

このゲームはカードゲームとして面白いのはもちろんですが、対戦する中での思考が
企業の経営戦略的な考え方をする(私の私的意見)ので是非紹介したいなと思い今回取り上げました。
我が家(私と息子(6歳))で現在はまっているのはこのゲーム『アンドロイドネットランナー』は
昔一世風靡したマジックザギャザリングというカードゲームを作ったリチャード・ガーフィールドが
原案でファンタジーフライト社がライセンス契約をし独自の味付けを加えヒットしまして、
世界大会なんかも行われているカードゲームです。(日本での知名度はイマイチかもしれません)

《実は先日このゲームの発売源であるファンタジーフライト社と元の権利を持つ
ウィザーズ オブ ザ コースト社とのライセンスが切れる2018年10月で、
新しいゲームが発売されなくなり、すでに発売されているカードセットが
再販されることも なくなることが決定しました。
とてもとてもショックです。しかしかまわず続けますね。》

 

コーポ側(どの会社もIT、クローン、バイオロイドという人造人間や近未来的な
交通手段を開発・建設することによって莫大な利益を生み出している大企業)と
ランナー側(この格差社会に不満を持つ天才ハッカーや無法者達)との戦いがゲームと
なったもので二人対戦のカードゲームとなります。
アナログゲームは一般的に多人数3~6人で楽しめる物が多いですが私がこのゲームを
選んだのには2人用ゲームだから(「弱者の戦略」の基本は接近戦の1対1だから)です。

このゲームは両陣に分かれて、コーポ側は自分の得点源となるアジェンダ(計画書)と
様々な利益を生み出すアセット(資材)を守り、チャンスがあればアジェンダを
アドバンスし(育て)得点することによって勝利を目指し、ランナー側はコーポが
本社のサーバーや、遠隔サーバーでひっそりと育てている計画書にアクセスし盗み出す
ことによって得点します。
またこのゲームにはカード(能力的資源)のほかにクレジット(金銭的資源)と
各ターンにアクションが出来るクリック(時間的資源)が存在します。

 

文章で書いてばかりでは「何のこっちゃ」と思われますよね、
では実際にプレイ中の写真を載せてみます。

    

これはランナー側から見たコーポの陣営ですが、ランナーが勝利するためにはコーポの数あるカードの
中からアジェンダ(計画書)を見つければ良く、そのカード記載の得点が得られそれが7点になれば勝利できます。
カードは基本的には裏向きになっておりその中からアジェンダを探すのですが一番左の写真内
写真の左よりR&D(デッキ、山札)
真ん中の茶色い縦向きカードの向こうがHQ(手札)
そして右に1枚縦向きに置いてあるのが遠隔サーバー
それと写真から切れていますがR&Dの左側はアーカイブ(捨て札)
となり各場所にはランナーのハッキングより守るための横向きカードである
アイス(障壁)があります。

 

このゲームではお互いに「クリック」という単位の時間が与えられておりその時間1つでカードを
引くのか、 1クレジットもらうのか、カードの能力を使うのか、カードを設置して守りに備えるのか、
カードの能力を 起動させるため、得点するためアドバンス(進める)するのかと選択できます。
このゲームをやっていくと、序盤はどの行動が有利なのかを考えたり、またカードが揃ってくると
カードの 能力によってお金を殖やすことができるので、クリックはお金を1クレジット生み出すより、
カードを 使ったほうがよいとかクリック(時間)の大切さや効率を考えるようになります。

またこのゲームには
ランナー側/コーポ側で共通の勝利条件→7点の獲得
ランナー側の勝利条件→コーポ側のデッキが尽きる
コーポ側の勝利条件→ランナーの手札枚数より多い枚数を捨てさせることにより勝利できます。
これによりデッキ構築時より勝利へのルートを考えますが、相手のデッキ内容、相手のスタイルにより
柔軟にカードを取捨選択して使っていくことが求められます。

 

アジェンダ(得点)がある箇所はたくさんアイスを設置することによって、堅牢な守りと出来ますが、
アイスを設置するにはインストールコストといってクレジットが必要
(アイスの枚数が増えるほど支払いも増える)
またアイスを起動するにはレゾ(裏返しのカードを表返す)する必要がありレゾするためには、
そのアイスの能力に 応じたレゾコスト(クレジット)の支払いが必要となるため、あまり考えずに
プレイを行うと、多くのアイスで 守ったはいいがクレジットが足らずアイスを起動することが出来ず、
ランナーに簡単にアジェンダを盗まれて しまうこともあります。
(多くの支店、設備、社員教育等にお金をかけすぎたために、費用がかさみ経営を圧迫する企業が目に浮かびます)

そう会社経営もネットランナーもバランスが大切です。非常事態に備えて内部留保も大切ですが、
やはり常に人事面(採用や社員教育等)には一定のお金をかけ企業の成長を促すと共に、社長も常に
勉強し会社と共に成長することが必要ですね。

 

ゲームの説明に戻りますが、コーポはランナーに対しアジェンダを盗まれないようにアイスによって守ります。
このままではランナーは何も出来ずお手上げですがランナー側には「アイスブレーカー」
というものがあり これを起動する(クレジットが必要)ことでアイスを突破できます。
アイスの種類(基本的に3種類)に対応したアイスブレーカーをクレジットを払って
用意するわけですが、 中にはどのアイスにも対応できるAIのアイスブレーカーもあります。

ランナーはあるサーバーに様子見のランをかけ、そのサーバーを守っているアイスに対応した
アイスブレーカーを用意し、所持クレジットで突破できると踏めばすぐに行動に移します。
そう経営戦略で言う「一点集中」「勝ちやすきに勝つ」ですね。

 

カードは様々な種類があり「能力を見ただけで強い・役立つ」と感じるカードもあれば、
そのカードだけでは「意味や有用性が全くわからない」ものもあります。
でもそのような一見わからないカードでも他のカードとの連携(コンボといいます)でシナジー効果を
生み出すものや、相手の強力なカードの条件下ではとても強力なカードとなりうるものも存在します。
つまりは使う人のセンスや裁量次第で役立つカードにも、役立たないカードにもなり得るのです。

それらのカードを使ってデッキ構築を行うこともこのゲームの魅力のひとつですが、
デッキ構築はまるで社長が会社の人事を指揮したり、組織作りを行うようなものですね。
カードの中にはExecutive(幹部)やSysop(シスオペ=システムオペレーター)などもあり皆、
(会社の社員と同じく)個性と特殊な能力を持っていたりします

 

ところで戦略的な思考を鍛える方法としては、世間一般的には現在注目されている将棋や囲碁などを
挙げる方も多いと思いますが、私は企業の経営戦略には統計や確率を感覚的に計算出来ることが
必要だと思いますのでその点山札構築の際カード総数、入れているカードの枚数からデッキの
残り枚数からどのくらいの確率で欲しいカードを引いてこられるかを計算して、
どのカードを使うのか/捨てるのかなど、今現在の状況ではどんなアクションを行うのが最善かと
考える確率的思考は将棋や囲碁にはないものかと考えます。

このゲームは2人対戦で得点カードであるアジェンダをどこに隠したのか、
また「ここに得点は隠されているのではないかと」探す際に相手の全体像をみて癖から判断をしたり、
心理的な知識から推測したりするのは、初対面の相手を見抜く、お客様との商談の場で価格交渉
(や利益を左右するお互いの腹のさぐりあい)等様々な場面で役に立つでしょう。

また手札の所持上限を超えた際にディスカード(捨て札)しますが、この際
「どのカードを残そうかな」 と色々考えるのは、社長が人事評価ので各社員に
評価付けする際に似ているのかなと考えたりもします。

 

こちらには書ききれませんでしたがこのほかにも、このゲームには経営戦略の基礎が様々詰まっています。
このゲームの他にも色々面白いボードゲームがございますがそれはまた別の機会に。

 

余談ですがこのゲーム実は対象年齢が14歳以上で、うちの息子は6歳で全てルールを理解し、
カードは漢字または英語記載なので読めませんが、絵でカードのテキスト内容を理解しています。
(私はわからないとカードのテキストを読みますが、時には自分より早く息子がカードの意味を
言い当てたりして驚かされます)小さい子は頭が柔らかく、知識を吸い上げるスピードは
大人から見ると驚異的です。
ですのでこのくらいの歳から、ゲームを通して色々な感性、知識を学んでいけば大人になる頃には
どのような才能を持った子になるかすごく楽しみであったりします。

 

長々と書かせていただきましたが、私は遊びを通しても「会社経営とは」と常に考えていたりします。
仕事のアイデアは何気ない他のことをしている最中にひらめいたりすることってないですか?
皆様も仕事で日々忙しくすごされているとは思いますが、大きな問題にぶつかったりした際には、
私とボードゲームをしながらそのお悩みについて少しお話してみませんか?

その解決に新しいアイデアが生まれるかもしれませんね。